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EDAX OIM Analysis 9 – 最高のさらにその先へ

はじめに

OIM Analysis™ は、電子線回折結晶方位解析(EBSD)マッピングデータの可視化と解析のための主要なソフトウェアプログラムです。ユーザーは、試料の結晶方位や結晶粒の形態を示すさまざまなマップを作成できます。また、結晶粒界の方位差や局所的な方位のずれに関するチャートを作成し、優先方位分布の極座標プロットを作成することもできます。このような幅広いデータ解析により、ユーザーは試料に対応する微細構造をより深く理解するために必要なツールを得ることができます。このような幅広い解析の可能性に加えて、OIM Analysisはソフトウェアを使いやすく、個々のユーザー向けにカスタマイズできる機能も提供します。テンプレートをユーザー定義のアウトプットとパラメータで作成し、保存や共有または他のデータセットへの再利用が可能です。これらのテンプレートは、ボタン1つで分析できるように設定したり、バッチプロセッサーと併用して、一連のデータセットを自動的に解析できます。OIM Analysisは EBSDデータ処理の基準を設定しましたが、OIM Analysis 9 ではさらに優れたものになりました。

OIM Analysis 9は高速化しました。Velocity EBSD検出器は、以前の検出器よりもデータ取得速度が大幅に高速化されているため、これは重要なことです。これにより、ユーザーはより多くのデータとより大きなデータセットを収集することができます。改良されたアルゴリズムは、データセットを開いてマップをより速く作成し、画像の再レンダリングを待つことなくワークスペース内で画像を移動することができます。基本的な改良により、OIM Analysis 9のユーザーエクスペリエンスが向上しました。

システムをより使いやすくするための合理化に加え、OIM Analysis内のOIM Matrix™ モジュールに大幅な改良が加えられました。OIM Matrixは、従来のHough変換ベースのアプローチと比較してパターンの指数付けを改善するために、Dynamical diffractionベースのシミュレーションEBSDパターンを作成して、指数付けを行うモジュールです。OIM Matrixでは、Spherical indexingが追加され、データ品質を低下させることなく、指数付けにシミュレーションパターンを使用する速度が大幅に向上しました。これによりOIM Matrixは、より日常的で専門的なアプリケーションで使いやすくなりました。

測定と考察

OIM Matrixの性能を説明するために、アルミニウムの圧延試料からデータを収集しました。このタイプの試料は、微細構造内の塑性変形量が多いため、解析が難しい場合があります。原子構造の周期性が変形によってかなり乱され、回折パターンの信号強度と鮮明さが低下するため、結果として得られるEBSDパターンはより拡散したものになります。図1aは、従来のHough変換の指数付けを用いた、表面の法線方向に対するIPF方位マップです。 0.1より大きい信頼性指数値(CI)のデータが、正しく指数付けされた点を識別するために適用されています。この閾値から除外された点は、画像では黒で表示されています。この指数付け成功率は25%でした。このデータは、Velocity Super EBSD検出器を使用して、72x56μmの領域を70nmのステップサイズで収集しました。EBSDパターンはディスクに保存され、その後、OIM Matrixによる解析に使用されました。

a) 従来のHoughベースの指数付けを使用した、圧延アルミニウム試料の表面法線方向に対するIPF方位マップ  b) Spherical indexing解析を行った同じ試料の IPF方位マップ
図 1. a) 従来のHoughベースの指数付けを使用した、圧延アルミニウム試料の表面法線方向に対するIPF方位マップ b) Spherical indexing解析を行った同じ試料の IPF方位マップ

図1b はSpherical indexing解析後のIPF方位マップです。指数付け成功率は72%に向上しました。この結果も、それ以降のすべての結果も、同じ信頼性指数値の高い閾値が適用されました。Spherical indexingの主な利点は、使いやすさにあります。ユーザーは再指数付けにSpherical indexingオプションを選択し、該当する相のマスターパターンをロードし、指数付けのためのバンド幅パラメーターを設定します。図2に、Spherical indexing使用時のOIM Matrixユーザーインターフェースを示します。マスターパターンをロードする際、OIM Matrix には一般的に分析される多くの材料について事前に計算されたマスターパターンの広範囲なライブラリが含まれています。OIM Matrix は、 材料の結晶対称性、 格子パラメーター、 原子位置の結晶構造情報が利用可能な場合に、 新しいマスターパターンを計算するためのツールも提供します。

Spherical indexing使用時のOIM Matrixユーザーインターフェース.
図 2. Spherical indexing使用時のOIM Matrixユーザーインターフェース.

OIMアナリシスには、EBSDパターンの指数付けを改善するための他のツールも含まれています。これらのツールの1つがNPAR™で、取得したEBSDパターンの局所的なカーネル平均化によってEBSDパターンのS/N比を向上させるアプローチです。図3aは、NPAR処理後のこのデータのIPF方位マップを示しており、解析後の指数付け成功率は52%でした

a) NPAR処理後のアルミニウム圧延サンプルのIPF方位マップ  b) 同じ試料をNPARと Spherical indexingを組合わせて再指数付けした結果
図 3. a) NPAR処理後のアルミニウム圧延サンプルのIPF方位マップ b) 同じ試料をNPARと Spherical indexingを組合わせて再指数付けした結果

OIM Analysisは、ユーザーがOIM Matrix、Spherical indexing、NPARの利点を組み合わせて、可能な限り最良の結果を得られるように構築されました。図3bは、Spherical indexingとNPAR再指数付けによる解析を組み合わせた後の結果を示しています。結果として得られたデータの指数付け成功率は97%でした。このデータ品質の向上は、クリーンアップ作業ではないことに注意することが重要です。これは、取得されたEBSDパターンからの実測値に基づいています。各ポイントで、ユーザーはパターンと指数付け結果を確認することができます。

OIM Analysisのもう一つの重要な相乗効果は、選択されたデータパーティションのみにOIM MatrixとNPARを適用できることです。一例として、信頼度指数が低いポイントのみの再指数付けを実行できます。もう一つの例は、特定のフェーズのポイントの再指数付けできることです。これにより、再処理の全体的な効率が改善され、ユーザーは特定の材料に対して斬新な方法でデータ品質を最適化する柔軟性が得られます。OIM MatrixはChI-Scan™ にも対応しており、EBSDデータと同時に収集されたEDSデータを使用して、結晶構造が類似した試料を区別し、相分離を改善することができます。

OIM MatrixとSpherical indexingは、EBSD測定の方位精度を向上させるために使用することができます。図4は、シリコン単結晶の1mm x 1mm領域から30μmのステップサイズで収集したデータから、Hough変換による指数付け、Spherical indexing、およびSpherical indexingと方位のリファインメントによって算出したKernel Average Misorientation(KAM)分布を比較した例を示しています。マップと分布は大幅に改善され、変形した微細構造の特性評価結果が向上しました。

シリコン単結晶 1 mm x 1 mmの領域を30µmのステップサイズで収集したデータの例で、 Hough変換による指数付け、Spherical indexing、 方位のリファインメント後にSpherical indexingを行ったKAM分布比較
図 4. シリコン単結晶 1 mm x 1 mmの領域を30 µmのステップサイズで収集したデータの例で、 Hough変換による指数付け、Spherical indexing、 方位のリファインメント後にSpherical indexingを行ったKAM分布比較

図5は、方位リファインメントによって得られたKAMの平均値に対するEBSDパターンのピクセル分解能とS/Nレベルの影響を示しています。ノイズレベルは、初期パターン(ノイズ0)、中程度のノイズを加えた後のパターン(ノイズ1)、かなりのノイズを加えた後のパターン(ノイズ2)に対応しています。これらのデータから2つの重要なことがわかります。第一に、中程度のノイズがある場合でも、方位のリファインメント機能によって優れた方位精度の値を測定することができます。第二に、これらの結果は、すべてのEDAX EBSD検出器で簡単に収集できる120x120ピクセルの画像で得ることができます。ピクセルの解像度を増やしても、性能は大きく向上しません。

方位リファインメントによって得られたKAMの平均値に対するEBSDパターンのピクセル解像度とS/Nレベルの影響
図 5. 方位リファインメントによって得られたKAMの平均値に対するEBSDパターンのピクセル解像度とS/Nレベルの影響

まとめ

OIM Analysis 9の新機能は、より優れたデータ、より迅速な解析、および改善された結果をユーザーに提供します。