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EDAX Octane Elite Super EDS 検出器を使用したMg合金試料中の0.5 wt%希土類元素のマッピング

はじめに

エネルギー分散型X線分析装置(EDS)は、試料の元素組成を理解するのに不可欠なツールです。EDSマッピングの結果は、主要元素の分布のみが表示されるため、状況によっては厄介な場合があります。介在物や微量元素(測定視野中のわずかな領域にしか存在せず、1 wt%未満であることもある)の場合、発生するX線強度が比較的少ないため、明確で正確な特性評価が困難な場合があります。さらに、ほとんどの介在物や微量元素は、EDS測定の前には未知であり、経験豊富な顕微鏡技術者でさえ、実質的なEDSデータ取得プロセスを実行しようとしない。従って、リーズナブルなEDS収集時間で、これらの微量未知元素の分布を収集することは非常に困難です。

結果と考察

最近、EDAX EBSD製品のデモ用に、Mg合金のEBSD試料を入手しました。興味深いことに、これらの試料の1つの表面には多くの粒子状物質が含まれていました(図1)。好奇心から、EDAX Octane Elite Super検出器を使用したEDSポイント分析により、研磨面と表面の粒子を分析しました。EDSの定性・定量結果は同じで、研磨面も粒子も同じようなMg、Al、C、Oの含有量でしたが、EDSのスペクトル形状から、この試料には微量元素が含まれていることは分かりました。

Mg合金試料の SEM像
図 1. Mg合金試料の SEM像

図2はこの試料のスペクトラム例です。1.3keV付近の詳細な特徴を示すように、スペクトル範囲を拡大しました。デコンボリューション曲線(シアン)と実測スペクトル(赤)の比較により、自動定性分析では同定出来ていない微量元素の存在が示唆されました。図2bでは、Eu M線とZn L線を追加したところ、デコンボリューション曲線と実測スペクトルのより良い一致が示されました。

Mg合金のスペクトラム: a) 自動定性分析結果 と b) 微量元素を手動で追加
図 2. Mg合金のスペクトラム: a) 自動定性分析結果 と b) 微量元素を手動で追加

eZAFアルゴリズムを使用すると、APEXソフトウェアから定量結果を得ることができ、このMg合金中のEuは1 wt%未満であることがわかります。従来、EDSマッピングでは、積算スペクトル(全画素の合計)法のため、局在する微量元素を見落としがちでした。APEXには、Max Pixelスペクトルというユニークな機能があります。この機能は、微量元素や介在物マッピングの問題を解決することができます。EDSマッピングの収集中にMax Pixelボタン(図3)を押すと、APEXは全てのスペクトルで各エネルギーチャンネルが最も高いカウント数を表示し、微量元素(この場合は希土類元素Eu)の存在を明らかにしました。

EDAX APEXソフトウェアのMappingリボンにあるMax Pixelボタン
図 3. EDAX APEXソフトウェアのMappingリボンにあるMax Pixelボタン

この実験では、15 kVの加速電圧と適切なビーム電流を用い、1秒間に約130 kの出力X線カウント(ocps)を発生させ、EDSマッピングの収集を開始しました。Maximum Pixel Spectrumを開始した後、10分以内に詳細なEu(Eu-L線を使用)の分布が効率的かつ正確に明らかになりました(図4f)。

驚くべきことに、Euの分布はAlの分布と強い相関があります(図5)。これら2つの元素は、このMg合金の機械的特性を向上させる相乗効果があるのかもしれません。この後、私たちはこの顧客に連絡を取り、EDSマッピングによってEuが存在することを発見したと伝えました。彼は最初これを聞いてショックを受け、低濃度(Euは0.5wt%未満)な事が、この情報を言わなかった主な理由だと説明しました。これは、ほとんどのユーザーにとって一般的な考え方であり、低濃度の含有物に対して長時間のEDS測定を行わないという判断が(以前は)妥当であったことを証明しています。しかし、Maximum Pixel Spectrum法により、干し草の山から針を素早く正確に見つけることがより容易になったと考えます。

a) Mg、b) C、c) O、d) Al、e) Si、f) EuのEDSマップ
図 4. a) Mg、b) C、c) O、d) Al、e) Si、f) EuのEDSマップ

全積算スペクトル(赤スペクトル)とMax Pixelスペクトル(シアンスペクトル)の比較により、Eu領域(赤丸)と非Eu領域(緑丸)の違いを示す
図 5.全積算スペクトル(赤スペクトル)とMax Pixelスペクトル(シアンスペクトル)の比較により、Eu領域(赤丸)と非Eu領域(緑丸)の違いを示す

まとめ

この興味深いデモストーリーは、EDAX APEXソフトウェアのユニークな機能であるMax Pixelスペクトルを紹介するために書きました。この機能がユーザーにとって有益なものとなり、微量元素の特性評価のためのスタンダードなEDSツールになることを願っています。