はじめに
電子線回折結晶方位解析(EBSD)の中核をなすのが、パターンの指数付けです。EBSDの自動化の鍵は、効果的な指数付けアルゴリズムの開発にあり、これは2つのステップで達成されました:(1) Hough変換によるパターン中のバンドの検出1 (2) 結晶方位を決定するために、検出されたバンド間の角度を結晶格子の面間角度と比較2 。このアプローチは、長年にわたってうまく機能してきました。

図 1. Houghに基づく指数付けの概略
そして今、新世代の指数付けが登場しました。この新しい指数付けアプローチの鍵は、ダイナミックな回折モデル3, 4 を用いて EBSD パターンを正確にシミュレートする能力です。この新しい指数付けアプローチは、パターンマッチングアプローチを用いており、最初のステップは、パターンまたはあらゆる可能性のある方位の「dictionary」を構築することです。実際の指数付けは、実験パターンをdictionaryのすべてのパターンと比較して、最もよく一致するものを見つけることによって行われます5 。ご想像の通り、これはかなりコンピュータの集約的な指数付け手法となります。この技法はOIM Analysis™に実装され、GPUを使用するようにコード化されているため、dictionary指数付け作成技法の応用が可能です。

図 2. Dictionary Indexingの概略
議論
Spherical Indexing6, 7と呼ばれる、より効率的なアプローチがOIM Analysis 9に実装されたことを発表できることを大変嬉しく思います。数学的な背景はかなり複雑ですが、コンセプトはそれほど難しくありません。先程、すべての方位についてdictionaryを計算すると述べました。もちろん、これは正確には正しくありません。方位空間は有限の方位の集合に離散化され、この離散化された方位空間に対してパターンがシミュレートされます。しかし、方位空間を球体として考える方法もあります。各方位におけるすべてのパターンをシミュレートする代わりに、単一の球状のパターンをシミュレートすることができます。次のステップは、球面上に実測パターンを逆投影し、相互相関を使用して(球面調和関数など)球面パターンへの最適なフィットを見つけることです。このアプローチもGPUを使用し、現在のHough変換/3バンド指数付けアプローチの速度に匹敵する指数付け速度を達成可能で、Houghベースの方法よりも堅牢性が高くなっています。

図 3. Spherical Indexingの概略
Spherical Indexingは、高度に変形した材料、回折パターンの発生が弱い材料、粗い表面を持つ試料など、従来の指数付けが苦手とする試料に非常に効果的です。図4は、ショットピーニングされたアルミニウム試料の断面の例を示しています。Houghベースの指数付けよりも指数付けされた点の数、およびDictionary Indexingによって得られたものよりも方位勾配の連続性という点で、指数付け性能が向上していることに注目してください(例えば、底部付近のマップの右端にあるピンク色の粒)。

図 4. Hough変換ベース、Dictionary Indexing、Spherical Indexingによっての指数付けしたショットピーニングされたアルミニウム試料の方位マップ
詳細については、OIM解析におけるSpherical Index法と実空間refinementを用いたEBSD 指数付け課題の克服ウェビナーやSpherical Indexingアプリケーションノートをご覧ください。
参考文献
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